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小島一郎写真集成

仕事の関係で、週一回は東京へ行っている。
6年間働いていた街とはいえ、名古屋、大阪、仙台と、東京を離れて3年近く経ってしまうと、たまに出かける東京に疲れてしまう。
東京、というか渋谷、新宿と言った方が良いかもしれない。
昔住んでいた墨田区の向島をはじめ、東京でも下町方面は今でも大好きだ。
本当は、八広の丸好酒場あたりで、モツ煮込みとレバ刺しなんかをつまみながら、キンミヤ焼酎を割ったホッピーをグビグビやりたい所なのに、なかなか濹東へ渡る時間が作れない…。

とはいえ、長らく地方にいると、圧倒的な物量と情報量には逆らえず、空いた時間で新宿の大小カメラ屋や大型書店、レコード屋、神保町の古書店、アキバ等をうろうろしてしまう。

これだけネットで何でも買える時代ながら、本は実物を見てみないと買えない性質なので、帰りの荷物になるというのについつい買い込んでしまう。

今回のメインはこの写真集。
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青森を中心に、北の地を撮り続け、昭和39年に39歳で亡くなった写真家の写真集。

数年前にも違う出版社から写真集が出ていて、この写真や、この青森県立美術館での企画展のプレスリリースの表紙にも使われていた写真等に、すっかり惹かれてしまった。

HDR写真を最初に見た時に思い浮かんだのがこの人の写真。
木村伊兵衛や土門拳を筆頭に、「絶対非演出の絶対スナップ」による「リアリズム写真運動」が広くアマチュアまで浸透していた時代。
そんな中で「スナップより造形美でいきたい」と言い、リアリズム写真の題材には事欠かなかったであろう、近代化の遅れた津軽や下北の農村・漁村を撮りながらも、地域の特殊性やヒューマニズムに拠らない写真で北の地を表現している。
黒い雲の中から差し込む逆光の太陽。そんな空模様と雪道を歩く農婦の姿を、暗室内で部分的な覆い焼きを繰り返す事で細部にわたって印画紙に焼き付けたりする。
撮影だけではなく、印画時の技巧を凝らし、作品を作り上げている。

そんな写真と、表現技法は、HDR好きな人にはきっと刺さるものがあると思います。
写真集でこのボリュームとしては高くないと思うし、見応えのある1冊です。

そんなこんなで、東京に行くといつも荷物が重くなるので、最近は一眼&レンズ3本+三脚を持っていくなんて無茶は止め、DP1と小型のゴリラポッドをバッグに潜ませている。
御徒町での用事を済ませ、歩いて秋葉原へ。
小島一郎写真集成_c0180505_551322.jpg

DP1は強い光源を画面上に入れると、その周囲に赤いゴーストが発生するので、街の夜景撮りはなかなか難しい…。
小島一郎写真集成_c0180505_5514913.jpg

とはいえ、3枚ブラケットからの合成だと、元々のDRの広さもあり、とても作業がしやすい。

by hiro_sj30 | 2009-06-06 10:06 | スナップ 写真  

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